空飛ぶ車いす
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車いすの修理ボランティアをして思うこと
2008年2月16日  
大阪府立堺工科高等学校 西岡 公平

3年生になり、課題研究の授業が始まった。課題研究は、テーマ毎に別れて1年間をかけ作品を製作したり、研究したりする教科である。最初の授業でテーマの説明があった。その中に「車イスの修理ボランティア」というテーマがあった。他に工作機械で加工するテーマもあったが、修理とボランティアという言葉が心に引っかかったので何とはなしにこのテーマ「車イスの修理ボランティア」を選んだ。他のメンバーも似たり寄ったりの感じで選んだみたいだった。

  1回目の授業から少し汚れた車イスを分解する作業が始まった。

車いすの修理作業

もっと難しいものと思っていたが、構造も自転車に比べてもチェーンやスプロケットがないだけ簡単ですぐ分解できた。車いすの修理作業タイヤもパンクしているのかと思い調べてみるとほとんどは、虫ゴムの交換だけの作業ですんだ。

機械部分に比べてシートや肘掛けの破損は、簡単にはいかず、まず、洗剤で洗濯し汚れを落とし、舗損のひどいものは、アイロン粘着テープで接着したり、デニムの布をミシンで縫ってカバーを作ったりした。専門の教科でアイロンとかミシンを使うとは思わなかった。
  部品一つ一つのさびを落とし、揮発油で拭いてから、組立作業に移った。軸は、ベアリングを洗浄後、グリスアップし組立、チューブレスタイヤに交換できる車輪は、すべて交換し、最後にブレーキを調整してできあがりである。
車いすの修理作業
  10年近く使われた車イスもあると聞いたが、機械的な部品は汚れているが、洗浄し再組立するとちゃんと機能したので大事に使われていたんだなーと思ったこともあった。また、サイズの違う子ども用の車イス3台の修理にかかったとき、この車イスを使っていた方が筋ジストロジーで自分達と同じ高校生の時に亡くなったので提供されたと話を聞き、悲しい気分になったこともあった。
車いすの修理作業
  修理の終わった車イスは、試運転をし、異常がなければ、折りたたんで保管しておき、発送の時にエアーシートで梱包し、持ちやすいようにひもをかけて保管する。2回とも発送は他の授業中になったので、先生にお願いして玄関まで運んでもらい引き渡したが、発送の状態を放課後、写真で見ただけだったので、最後まで見送れなかったこともあり、自分達のした仕事が本当に役に立っているという実感はあまりなかった。

  しばらくして、「空飛ぶ車イス」のwebページを見ると、スリランカに送った車イスとそれを使っている方々の写真が掲載されていた。思わず自分達の修理した車イスがないか探してみたが写真が小さすぎて判別できなかった。しかし、明るい太陽の下で、うれしそうに微笑んでいる新しい利用者の顔を見ると「車イスの修理ボランティア」をしてよかったと思いました。