空飛ぶ車いす
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「あきた車いすリサイクリング」
7カ国115名にプレゼント
 
秋田県社会福祉協議会  安田 大樹

  今、日本では車いすは一般の家庭でも比較的容易に入手できますが、東南アジア諸国にはいまだ福祉機器の普及が進まず、車いすが必要な方に十分行き届いていない現状があります。
  その一方、日本における社会福祉施設や公共施設などでは、多少手を施しさえすれば使用可能な車いすでも、そのまま廃棄されるものが数多くあります。本会は、そうした廃棄される車いすを県内の高校生の協力により整備・修理し、それらを必要とする人々に役立てていただこうと、平成17年から「あきた車いすリサイクリング」をスタートさせました。
  この事業は、高校生による修理・寄贈活動を通じて車いす利用者や関係者との交流を深めるとともに、高校生のボランティア活動や社会貢献活動への積極的な参加と意識の高揚を図ることを目的としており、県内の工業系の高等学校10校の参加により、スリランカやインドネシア、韓国など、これまで7カ国に対し計115台車いすを寄贈しています。
参加者の集合写真  なお、事業を進めるにあたっては、共同募金の配分金を活用してきたほか、秋田県ヤクルト連合会からも趣旨に賛同いただき、修理活動に係る経費を支援していただいております。
去る7月29日には、当事業に対する理解促進と協力校どうしの交流、修理技術の向上を目指した「あきた車いすリサイクリングセミナー」を実施しており、高校生15名のほか、教員と当該市町村社会福祉協議会の職員などを含め計28名の参加により、情報交換と専門家による修理講習を行ったところです。
  参加した高校生からは、「上級生が取り組んでいたことは知っていたが、具体的にどのようなしくみで行われているかは分からなかった。今回参加してみて改めてこの活動がもつ意味を理解できたため、海外で必要としている人に大事に使ってもらえるよう、丁寧に修理活動に取り組みたい」との声があったところです。
  各校の修理活動は、課外活動として実施したり授業の一環として実施するなど形態は異なりますが、活動を通して諸外国の福祉の状況を自主的に調べたり、さらに自分たちでできるボランティア活動に意識が向くなど、単に車いすの整備・修理だけにとどまっていないことが活動の成果といえ、今後さらに深みある活動に発展していくことが期待されるところです。

修理中の写真 修理中の写真